KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

小林正幸『なぜメールは人を感情的にするのか』

電子メールやパソコンが好きな人というのは「人嫌い」だといわれることがあります。「おたく」であると。しかし、そうではないようです。コミュニケーションをとりたがる人ほど、メールも使うという調査結果が出ています。「人と会話できないから、パソコンを眺めているんだ」と思っている人もいるようですが、そうではないのです。

……すると、カウンセラーに対する理想化がはじまります。/これを臨床心理学ではカウンセラーに対する「転移感情」と呼びます。これは何もカウンセリングの世界だけに当てはまることではありません。恋愛感情もその一つですが、メールにはそのような気持ちを抱きやすくさせる特徴があります。少しメールを続け、その相手の反応が自分が望んでいるようであると、自分のすべてを理解してもらえる相手だという錯覚を持ちやすくなるのです。

心理学に「投影」という言葉があります。自分が感じているように、相手も感じているであろうというふうに思ってしまうことです。もし自分があまり相手に好感を持てないでいるとすると、相手の文章のある部分をつかまえて、相手の人が自分に対して攻撃的になってきているという受け取り方をする心理が起きます。相手の実像が見えないからこそ、この「投影」の心理が起きやすいのです。

携帯メールをこまめに返信しなければ??という気遣いは、友人から嫌われてしまうのではないかという、恐怖心を背景にしています。これは対人不安の心理によるものです。下の世代になるほど、若者であるほど、対人不安傾向は強く見られるように感じます。メールを返信しなかったら、相手を怒らせてしまうのではないかと思うので返信することも少なくありません。

どこかに不平不満を抱えていて、それを無意識にでもどこかに伝えたいと思っている人の文章は人を不快にさせやすくなるのではないかと思います。パソコン通信のフォーラムなどを読んでいると、相手の発言に対してアラ探しをするようなレスポンスをする人を必ず一人や二人発見します。枝葉末節にこだわり、相手が「あなたに不快感を与えたのなら謝ります」などというと、「何に対して謝るのかはっきりさせろ」などというレスポンスでさらに追い打ちをかけたりします。黙っていれば、何で黙っているのかなどと言ってくることもあります。

携帯電話は身にまとうものなのです。ウォークマンや携帯ラジオなどもそうです。自分の身にまとっているものには愛着が出てきますし、自分の身体の一部であるかのように感じてしまうのです。

転移や投影による説明はわかった気にさせるけれども、どうしてそのようなことが起こるのかということと、それを避けるにはどうしたらいいのかという具体的な処方が必要になってくるだろう。

2004年の「今年の抱負」の検証

去年の「今年の抱負」にこんなことを書いた。

  • 本を読もう(100冊)
  • 体重を減らそう(-10kg)
  • 論文を書こう(1本)

その結果、

  • 本を読もう(100冊)→ここに何らかの形で書いたものを数えるとすると、20冊くらいであった。
  • 体重を減らそう(-10kg)→減りもせず増えもせずで、現在77kg。しかし、主治医には減らすよう厳命されている。
  • 論文を書こう(1本)→年内にはゼロであったが、3月までには2本投稿する予定。これで許して。

というような結果であった。「今年の抱負」には達成可能そうなものを設定すべし、という私の信念からすると、あまり達成していなかったなあ。まあ、今年も同じ抱負で行ってみようか。