2024年4月14日(日)
2017年3月6日のnote記事「ライフスタイルは物語=ストーリーとして頭の中に書かれている(ライフスタイル論#03)」を公開した。
> それに対してライフスタイル=物語論は目的論の立場です。ライフスタイル辞書に書いてあるストーリーには「自分がこのように行動すればうまくいくだろう」という目標が書かれているのです。別の言葉で言えば、そのストーリーを実現するために、自分の思考と行動を決めているのです。
https://note.com/kogolab/n/n31ddf1bb3fb4
これに対して、Facebookで無藤先生からコメントをいただいた。そのやり取りを再録しておく。
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無藤 隆
ストーリーとは時間的つながりを作り出すナラティブであるわけですが、そこに目標が生まれて、目標とその手立てと克服という見方が強化されるのですが。ただそれが明快な因果に還元しないものなのではないでしょうか。少なくともブルーナーなどのアイディアはそこだと思います。
向後 千春
コメントありがとうございます。アドラーの目的論的な物語(ライフスタイル)とブルーナーのナラティブ論の掛け合わせで検索したところ次の論文が見つかりました。
Towards Narrative Futuring in Psychology:Becoming Resilient by Imagining the Future
Anneke Sools & Jan Hein Mooren (2012)
https://gjss.org/sites/default/files/issues/chapters/papers/Journal-09-02--10-Sools-Mooren.pdf
この論文では、フューチャリング(未来を想像すること)に対するナラティブ心理学的アプローチを論じています。人は未来への行動のガイドラインとして仮想的な物語を使っているとしたアドラーを先駆的なアイデアとして取り上げているようです。
無藤 隆
そういうガイドラインとか過去を振り返ってのライフストーリーとかは、必ずしも目標に向けての合理的な手段の遂行とならない、時間経過から成り立つというあたりが重要な気がします。
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ブルーナーについては、横山草介(2015):ナラティヴの文化心理学─ブルーナーの方法 質的心理学研究, n14, 90-109 を参照すると早い。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaqp/14/1/14_90/_pdf/-char/ja