KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

質問マイクの前に並ぶ方式

 ICCE99の話題もこれで終わりにしよう。

 海外の学会ではたいていそうだということを聞いていたのだが、フロアにスタンディングマイクが置いてあって、質問のある人はそれに並ぶという方式を初めて見た。これはいい! ぜひ日本の学会でも取り入れるといい。

 一通り登壇者の話が終わって、質疑の時間になると、質問をしたい人はマイクの前に並ぶという方式だ。マイクはフロアの3カ所ほどに設置してある。手を挙げて質問する日本の方式だと、係員がマイクを持って走り回るということになり、実に時間がもったいない。質問マイク方式では、質問したい人はおもむろに席をたって、マイクのところに行って発言が許されるのを待てばいい。これなら係員がばたばた走る必要は全くない。実にスムーズだ。

 質問マイク方式の優れた点は、質問したい人がどれくらいいるのかということが会場のすべての人にわかることだ。質疑応答の難しい点は、質問者や回答者が時間の配分を誤って長々と話し込んでしまうことにある。もし質問マイクに5人並んでいたとしたら、最初に質問する人は長々と話してしまうというミスをしにくくなるだろう。行列が適切なプレッシャーになるからだ。

 さらに質問マイクに誰も並んでいない状態を見て、登壇者が長々と話をしてしまう場合がある。そのときは、挙手方式ではなかなか手を挙げにくいものだ(私は傍若無人にも手を挙げることがある)。しかし質問マイク方式ならば、無言でマイクの前に立てばいいだけだ。それは「質問がある」ということの無言のデモンストレーションになる。それを見た登壇者は早めに自分の話を切り上げるということになる。

 全体として登壇者とフロアの質問者とのやりとりが無駄なくきっちりとできるようになる。それだけ密度の濃い議論ができる。この方式を一度見てしまうと、今までの、挙手をしてマイク係がばたばたと走り回る方式が、前近代的なもののように思えてくる。

 ぜひ質問マイク方式を日本の学会でも広めよう。