ICCE99でのG. Fischerの講演を自分なりにまとめておこう。
彼はこれからの教育の変化を次のようにリストアップしてみせた:
- means => ends 方法から目的へ
- medium => content メディアから内容へ
- computers => task, services コンピュータから課題・サービスへ
- specialist => everyday life 専門家から日常生活へ
- learning about computer => learning with computer コンピュータについて学ぶ から コンピュータで学ぶ へ
これまでのところ「教育が技術の関数によって決められている」
- Education = f(Technology)
しかし、これからは「教育(からの要請)によってメディアや技術が決められていく」
- Media, Technology = f(Education)
ということになっていくだろうと予測している。
とりわけ、オープンソースの運動としての広がりが教育にも影響を及ぼしてくるだろうと主張した。教育におけるオープンソースとはどういうことなのか。その詳細はわからないが、興味をかき立てるアイデアだ。
さて、この会議でのパネルディスカッションも面白いものだった。G. Cummingがこの教育フィールドでの研究を進めるにあたっての「4つの危険」を示した:
- 既存の研究成果を無視すること
- 文化を無視すること
- ばらまかれたレンガ(のように研究成果を積み重ねないこと)
- 権力と倫理の問題
これに対してAlfred Borkが質問に立ち、「レンガ論」のような科学の進歩についての積み上げ論は間違いだ(少なくとも低いレベルの科学にしかあてはまらない)ということを、クーンのパラダイム論を持ち出して反撃した。
私には内容ではなく、このCummingとBorkのやりとりそのものが面白かったのだ(まあ難しいところは内容が聞き取れなかったのだが)。議論というのはこういうふうにやるのだということを示しているように見えた。BorkはCAIシステム開発研究の大御所で、もうかなりの年齢のはずだが、かくしゃくとして先陣を切って質問に立つ、その姿勢がすばらしいのだ。見習いたい。