KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

NHKスペシャルの再放送

風邪をひいた。といっても寝込むほどではない。微熱と鼻水とだるさのみ。しかし、授業は体力を消耗する。教員はある意味、肉体労働だ。最近睡眠不足だったかな。

NHKスペシャルの再放送が深夜に流れている。見逃したものもあって、ついつい見入ってしまう。

ひとつは、工場改革の話。日本では人件費が高いため、工場が次々と日本から海外に出ている。そこでどのようにして生き残るか、少量多品種のニーズにどうこたえるかということが焦点になっている。工場改革のコンサルタントを追いかけた話。

面白かったのは、流れ作業によるよりも、「一人屋台」方式による全行程一人生産の方が生産性が高くなると言う常識を破る事実。もちろんテレビカメラがはいったことによるホーソーン効果もあるのだろう。しかし、これについては常識の思い込みもあったのではないか。

つまり、人間は思いのほか早く熟練するということ。とりわけ、全行程を1人で仕上げることによってやる気が高まっているときには。しかし、これは、今の熟練工と昔の熟練工とでは、その熟達技能の度合いに差があることも考慮しなくてはならない。今の工場では、高品質に規格化された部品を組み立てていくことが熟練内容であり、高品質な部品そのものを作り出す昔の熟練工とは意味合いが違うのではないか。そう考えると、少し納得がいく。

もうひとつは、「被爆医療83日間」。臨界事故にあった人の治療を担当した医師とナースのインタビューが中心だった。放射線によって染色体をずたずたにされた患者に対して、なすすべのない、無力さが、淡々と語られる。この無力感は治療を担当した医師やナースにもまた大きな影を落としているのではないか。そんなことを感じた。