超図説 目からウロコの進化心理学入門―人間の心は10万年前に完成していた (講談社SOPHIA BOOKS)
- 作者: ディランエヴァンス,オスカーサラーティ,小林司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/02
- メディア: 単行本
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ディラン・エヴァンス(小林司訳)『超図解目からウロコの進化心理学入門』(講談社、2003、1900円)を読む。
翻訳者の小林司さんからいただいたものだ。著名なシャーロキアンでもある、精神医学者の小林司さんとは、エスペラントを通じて何かと縁がある。「専門じゃないだろうけど、贈ります」といって送っていただいた。
このイラスト満載(というかほとんどがイラストの本。「For Beginners」シリーズの作りだ)の本を読んで、進化心理学とは何かがはっきり見えてきた。ちゃんと勉強しないとダメだね。この本が宣言するところによれば、心理学は進化心理学という新しいパラダイムを得た。将来は、「進化心理学」ではなくただ「心理学」と呼ばれるようになるだろう、と。
進化心理学とは、認知心理学と進化生物学の組み合わせである。チョムスキーは言語学習装置が人間に組み込まれていることを主張した。マーは視覚処理について同じようにソフトウエアが組み込まれていると主張した。フォーダーは心はモジュール化されていると主張した。生物の器官が進化したと考えるならば、心のモジュールもまた進化の過程(自然淘汰と適応)を経ているという仮説を立てることに何の問題もない。そこから進化心理学が始まる。
ピンカーの『言語を生み出す本能』(NHKブックス)は面白かったが、今ひとつぴんとこなかったところもある。この本を読んで進化心理学的構えを作ってから読み直すといいかもしれない。
この本を読んで思い浮かぶのは、戸田正直さんの「アージ理論」だ。あれには進化心理学を予見しているようなところがあったんじゃないかなあ。
ともあれ、進化心理学って何?と興味を持っている人にお勧め。