KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

理論というメガネを獲得したのだ

テストの問題に一問くらい遊びの入った問題をいれておいてもバチは当たるまい。

IDの最終テストは5問で、各200字の記述式なのだが、その最後の一問は「あなたが何かを教えるときに、この授業で習ったことを活かすとすればどんなプランを立てるか」というような問題だった。

オープンブック(何でも持ち込み可)の試験なので、ワークブックに書いてあるようなことをそのまま書いてもダメよ。自分で考えた具体的なことを書いてね。と制約をつけてある。こういう自由度の高い問題の解答を読めば、学生が何を授業から読み取ってくれたかがよくわかる。生半可な授業評価アンケートよりもシビアに評価される気分だ。

8割方の解答は読んでいて楽しくなるようなものだった。まずまずというべきだろう。

IDの後半は、基礎学問としての心理学を特急で紹介した。行動分析学認知心理学、状況的学習論、そしてアドラー心理学。解答を読んでみて、人気が高かったのは、行動分析学認知心理学だ。鼻の差で行動分析学に軍配が上がるか。シンプルで強力な理論だからだろう。「好子」とか「嫌子」とかの術語が飛び交うのは楽しい。あなたは行動分析学というメガネを獲得したのだ。認知心理学は「間違うのにはそれなりのわけがある」というところが学生の共感を誘ったようだ。

そしてアドラー心理学も人気が高かった。「自然の結末を体験させる」とか「個人の主体性」とか「勉強できないのは要するに勉強したくないからだ」とかのコトバが飛び交うのを読むのも楽しかった。今時の若者にはもしかするとアドラー心理学のような強い心理学があっているのかもしれない、などと思ったりもした。