KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

小学校の「平均」以来の新たな勉強

計算機統計学会(http://www.jscs.or.jp/)の大会の話題提供の1人として招待されて、お話をしてきました。自分のなかでは一区切りついているテーマなのですが、WebベースのPSIによる統計学入門授業の紹介をしました。毛色の変わった話題提供者だったらしく、フロアからいくつかの質問をいただいたので、良かったです。

他の話題提供者からの話を聴いて、いろいろ勉強になりました。たとえば、今の小学校では6年生で「平均」が出てくるだけなのですが、昔は小学校の段階で、グラフの読み取りなどいろいろなことが教えられていたのです。平成元年までは「ちらばり」(分散)の概念も小学校で扱われていたのですが、今では、平均だけです。時間とカリキュラムの削減によってここまで減ってしまったのですが、アメリカやヨーロッパでは日本とは逆に、初等教育でデータを読みとるためのリテラシー教育が比重を増しているとのことです。

中学校の数学では統計はまったく扱われません。高校の数学Bで統計が出てくるのですが、4領域から2つの選択であるために、ほとんどのケースで「数列」と「ベクトル」が選択され、統計は選択されないようです。

このような状況なので、大学に入って統計学を学ぶ学生は、ほとんどのケースで、小学校の「平均」以来の新たな勉強になるわけですね。

それから面白かったのは、1995年に上場企業1635社に聞いた調査なのですが「大学で学んできて欲しい分野」として、統計学が文系で72.2%で1位、理系も77.8%で1位なのです。ちなみに2位はプログラミングで、理系では統計学とほぼ同じですが、文系では約50%となっています。社会からの要請も強いことがわかります。