以前、「決心さえしなければ行動は変えられる」と書いた(id:kogo:20121220)。つまり、決心をしてむりやり行動を変えるとその反作用がきて、ほどなくして元に戻ってしまう。だから、反作用が出ないように「あたかも昨日もやっていたように新しい行動をすれば、よい」と。
ダン・アリエリーの『ずる―嘘とごまかしの行動経済学』を読んでいて、これと似たことがすでに実証されていることを知った。つまり、運動をし続ければ体力が消耗するのと同じように、心も何かをがまんしたり、無理をし続けると「消耗」するということだ。
たとえば、ダイエットを始めたら、甘いものや脂肪たっぷりの食べ物の誘惑にさらされても、それに打ち勝たなければならない。こうした心の働き、つまり「自制心」や「意志力」と呼ぶべきものは、はじめのうちはうまく働くけれども、何度も使っていると、体力と同じように「消耗」する。そして、それが消耗しきったら、「ええい、もういいや。食べちゃおう」そして「また、明日からダイエットをすればいいや」となる。
それは「心の消耗」モデルからすると自然な結末なのである。
- 作者: ダンアリエリー,Dan Ariely,櫻井祐子
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