KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

教育工学会1日目

長岡技大での教育工学会1日目。昼間で天気がもったけれども、午後から冷たい雨に変わった。と同時に気温もぐんぐん下がって、この時期は暖房もはいらないのだろう、教室は人が入っているにもかかわらず、底冷えという感じ。風邪をひかないようにしなくては。

発表はおもしろいものがいくつもあった。以下、そのメモとインスピレーション(こちらのほうが主)。

ゲーム型学習システムには、直接型と間接型がある。直接型は、ゲームと学習活動が一体化しているもの。間接型は、学習活動とゲームが分離しているもの。つまり、課題の報酬としてゲームができるようなパターン。

これは学習マンガの分類にも使える。つまり、学習内容とマンガが一体化しているものと、学習内容をマンガキャラクターがしゃべるだけのもの。効果は、マンガでもゲーム学習でも一体化しているものが高い(当然)。とすれば、解決すべきは一体化しているような学習システムをどのようにオーサリングしていくかという点に絞られる。これが難しいからよい学習システムが少ないわけで。

オリジナリティに目をつぶれば、汎用的な典型的ストーリーをいくつかのレパートリーとして用意しておく。それを使えばどんな学習内容でも乗せられるようなものを作る。これなら可能性がありそうだ。たとえば、冒険型、旅行型、成り上がり型、落ちぶれ型(?)、ずっこけ旅行型、水戸黄門型など。人生のパターンや、キャラクターのパターンを用意しておき、その組み合わせをすれば、飽きない。こんなところで物語文法の理論が使えるかもしれない。

すでに病院で実用されている電子カルテを教室に持ち込もうと提案する人はたくさんいる。病院メタファを使えば、[患者・病名・処方]は、[学生・つまずき・指導]に対応する。そう考えると、医者が病名を確定するほどには、教師がつまずきを確定する技能がないことに気づいたりする。認知心理学の出番なのに。

それはともかく、学生が作ったり更新したりしたファイルを自動的に収集して、データとするという方法は応用が利く。たとえば、レポートを作るのでも、ファイルが更新するたびにチェックして適切な助言をしたりできる。学生はいやだろうけど。

穴埋め式のワークシートがなぜ嫌な感じなのか。それは穴埋めの個数が増えると飛躍的に自由度が増えるためだ。1段落にひとつの穴埋めまでならOKとしよう。それ以上になると何を言っているのかわからなくなる。穴埋めテストというのが先生は好きなようだが、これのルーツは何か。日常的にはこんな形式の問題解決はない(一部が文字化けしたメールを読むとか?)。ちなみに私は嫌いで、自分のテストでも使わない。

穴埋めの個数を独立変数として、設問の困難度を従属変数とする教育心理学的な実験もできる。

Web学習で、意見をBBSに書き込まなければ次に進めないようにするというのはPSIでも使える。質問を書けば、誰かがそれに答えてあげるなどの効果もある。

簡単に言えば、学習内容、オンラインテスト、BBSがあれば、最小限のシステムはできる。学習内容からはブラウジングデータ(何をどれだけみたか)が取れ、オンラインテストからは回答データ(パフォーマンスデータ)が取れ、BBSからは会話データ(考えていることのデータ)が取れる。だからデータ収集の面からみても、基本的なものはすべて取れると考えてよいはずだ。

オンラインテストは多肢選択のような形式ばかりではなく、オンラインレポート作成テストのようなものも考えられてよい。これは拡張すれば作文プロセスの実験にもなるはず。

こんな感じで次々とやりたい実験のアイデアが浮かんでくる。でも全部自分でやることもできないので、これを読んでいる大学院生がいたら、ぜひこれをヒントにして研究してほしいと思う。