KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

就職からゼミを考え直す

今年も就職戦線は厳しい。去年よりは少しはいい、と言う人もいるが、しかしこれはこれから先、いつかは好転して、誰でも好きな会社に入れるということには絶対ならない。いままでだって誰でも好きな会社に入れる時代などというのはけっしてなかったのだ。いつの時代も職を得るというのは大変なことだ。だから、自分を見直して、適切に自分の専門と熱意を売り込めばいいのであるし、それ以上に効き目のある戦略はない。

しかし、自分のゼミの学生が就職戦線を目の前にして、あまりにも不安であるのが気にかかる。「先生、私はいったい何を売り込めばいいのでしょうか?」と真顔で聞いてくるので、私も自分のシナリオ通りに、「教育のことが分かり、それをコンピュータを含めてシステム化することができることじゃないか?」と答える。すると、「ふーん、私たちってそういうことをやっていたんだ」である。そんなふうにして聞いた通りのことを面接で披露してその学生が採用されるとしたら、その会社も大変である。

しかし、会社も甘くない。だいたい教育部門に力を入れている会社はごく一部の大企業だけであるし、たいていは真っ先にリストラ対象になるのが普通だ。まず、教育部門の要員として新規採用されることは、ないだろう。しかし、これは裏を返せば、教育が外注化されるということであり、多くの企業から教育部門が外注されるならば、教育を専門に供給する会社はこれから大いにのびるはずである。

だから、私としては、ゼミの卒業生にはそういう会社に入って活躍して欲しいのである。しかし、本人達がそれにまったく気がついていないとしたら、私はいったい何をゼミで教えているのだろうかという質問を自分にぶつければならない。つまり、自分たちがなにをやっているのか分からないようなゼミとはなんなのか、価値あるものなのかということなのだ。さて、どう変えればよいのかまだ分からないのだが、ゼミを変えなければならないことは明らかのようだ。