KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

ゾンビ抹殺ゲーム(前)

 私の実家は東京の下町にあるので東京出張の時はそこに泊まる。先週末の東京出張で、たまたま妹夫婦が子供連れで実家に来ていたので、その子供を遊びに連れていくことにした。妹の子供は今時にしては大人数で、上から、女・女・男・女の4人兄弟姉妹である。中学二年と小学五年の上の二人の女の子を新宿の高島屋に連れていくことにした。

 3D映画のIMAXを観よう、と提案するが、二人は妙におびえている。「怖くないの?」としつこく聞く。映画は「L5」という宇宙もののようだったので「怖くないよ、絶対」と答える。それでも「本当に?」とくいさがる。以前、彼女たちが小さい頃に私にディズニーランドに連れていってもらい、暗闇を突っ走るジェットコースターに乗せられて、腰を抜かすほど泣いたことを彼女たちはまだ覚えているのだ。それ以来、私がたとえ善意でも(いや、いつも善意なのだが)何かに乗ろうとか、どこかに行こう、とかいうと妙に用心深くなっている。

 説得して、館内に入ると映画が始まった。きれいな画像だし、全然怖いところはない。彼女たちも安心して観ているようだ。よかった。しかし、この映画、どこかで観たことがある。初めてのはずなのに。

 ストーリーが進むに連れてはっきり思い出した。これは確かに観たことがある。そうだ、1997年の3月から4月にアメリカに滞在したときに、友達に連れられてケネディ宇宙センターにいったときに観た映画と同じだ。もちろん英語と日本語の違いはあるが、同じ映画だ。1300円も出して、私はチエコ(←映画に出てくる主人公の少女)を時と場所を隔てて、二回も観てしまった。

 「L5」の次の回で上映される、深海ものの映画にしておけばよかったなあ、と心から悔やみながら、彼女たちに聞いた。

 「おもしろかった?」
 「うん!」

 おそらく、怖い映画ではなかったことによる安堵のためであろう、彼女たちは元気良くそう答えた。

(続く)