KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

Webページを書くこととその見返り

 「Webページなどで発信をすると自分の欲しい情報が集まってくる」というのは、社会心理学の中の「コンピュータ媒介コミュニケーション」(Computer-mediated communication = CMC)の領域での重要な知見だ(*)。この報酬があるために、発信のための労力や費用が見合ったものになるという。また逆に、自分では発信せずに情報を集めるだけの「ただ乗り」をしようとする人は、もはやネットワーク上の情報が膨大になっている現在では、本当に自分の欲しい情報を得るためのコストが高くなりつつある。

 私も毎日1時間余をかけてWeb日記を書いているわけだが、その見返りは十分に受けていると実感している。たとえば昨日の日記では、自分の授業について書いたのだが、それを読んだ人から、すでにそうしたことを研究している人を紹介してもらったり、その実践を参考にしたいという資料請求を受けたりして、人脈ができる。私がやっているような教育関係の研究フィールドでは、もはや一人で何ができるということでもないので、こうした研究者・実践者同士のつながりが何よりも貴重なのだ。

 というわけで、「なんでWeb日記なんて書いているの?」と尋ねられれば、真剣にそのことを聞いている人の場合には、上のような説明をしようと思っている。しかし、相手が「ヒマなんだねぇ」と心の底で思っていることが透けて見えるような場合には、「あんたに言われたかねえ。よけいなお世話」と心の中で返事をしながら、「ひ・み・つ。ふふっ」と口では答えるのだ。

(*) 池田謙一編『ネットワーキング・コミュニティ』(東大出版会, 1997)