KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

板書するのもいいかも

 心理学や統計学など、学外の非常勤講師をよく頼まれる。しかし、一度非常勤を受け持ってみて、学生にやる気がなければ、その次からお断りすることもよくある。まだ若造なのに、こういうことをしていると叱られるかもしれない。私の先輩は「お座敷がかかるうちがはな」と私に諭してくれた。それを信じている。

 しかし、どうみても大部分の受講生にやる気が見られなかったり、いやいや受講させられているのが明らかなときは、やはり辞めさせていただく。それは、教える側にも教わる側にも責任のない、システム的な問題だからだ。お互いに不幸になる授業だけはしたくない。

 高岡法科大学というところで、教養の心理学を受け持っている。集中講義を除けば、今受け持っている唯一の非常勤である。受け持って2年目になるけれども、張り合いがある。受講生が200人弱の規模のクラスであるが、半分出てくればいい方だ(2コマ連続なので2コマ目になるともう少し人数が増える)。それでも十分張り合いがある。それは人数的なものもあるし、真剣に聞いてくれる人が多いということによる。

 大勢の人の前で講義をするのは、楽しい。もちろん緊張したり、失敗したりすることもあるけれども、自分が話をして、それが聞き手に伝わるのであれば、聞き手は多い方がいいにきまっている。同じ内容の話が、聞き手の人数に比例して伝わっていく。これは、50人以下の規模のクラスしか受け持っていなかった頃にはわからなかったことだ。

 今日の講義では、いつも使っている「パソコン+液晶プロジェクタ」によるスライドショーが使えなかった。パソコンとプロジェクタをつなぐコネクタが合わなかったためだ。仕方がないので、今日に限って板書をしながら話した。スライドの内容はすでにプリントアウトして手元にあったので、それを見ながら板書し、話せばよい。

 すでに何人かの受講生から、「スライドが速すぎてノートが取れない」という苦情や「話をもっとゆっくりしてほしい」などの希望をもらっていた。とはいえ、自分が慣れ親しんだ話のペースはなかなか変えられないものだ。

 しかし、今日は板書である。大教室なので、板書も大きな字で書く。当然、ゆっくり書かなくてはならない。そうすると、学生がノートを取る時間も十分できる。そして書いている間は、話ができないので、話のペースもゆっくりになる。ということで、スライドを映しながら早口でしゃべってしまうよりは、かえって良かったのではないかと感じた。来週も、板書を続けようか。