KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

「のし」で泳ぐ

 日曜日。海に行って泳ぎたかった。しかし、一緒に行ってくれる人がいなかったので断念。

 海で泳ぐのが好き。身体を焼くとか、砂浜で遊ぶとか、水着姿の彼女といちゃいちゃするとか、そういうのではなくて、純粋に海で泳ぐのが好きなのだ。プールで泳ぐのはあまり好きではない。あくまでも海で気ままに泳ぐのが好き。

 私の泳ぎ方は、中学校時代に強制参加の水泳学校で身につけさせられた「のし」だ。「横泳ぎ」とも呼ばれる日本泳法(こういうとなんとなくかっこいいが)で、泳いでいる姿はけっして格好のいいものではないが、長距離も楽に泳げる。合宿の水泳学校は今思い出しても、楽しかった記憶はわずかだが、結果としてのしができるようになったのは大きな遺産だ。

 わけのわからないうちに、無理矢理何かを身につけさせられるというのは、今ではあまり通用しなくなったやり方だが、ちょっといい点もある。それはやっておいて損はないということがあって、でも普通に生きていたならやらないだろうし、その価値も若いときには分からないだろうね、というようなことを無理矢理にでもやらせてしまうシステムあるいは伝統というものだろう。

 のしで泳いでいると、苦しくなることもなく、いくらでも泳げそうな気がする。海水浴場の安全エリアを示す、沖合いの発泡スチロール性のウキまで、とりあえず泳ぐ。そこでぷかぷか浮いてひと休み。さすがにそこまで来る人はあまりいない。のんびりと1人の気分を味わう。水深は何メートルあるのかわからないが、怖いことはない。また、ゆっくり泳げば、すぐに岸まで着くから。

 のしは海に合った泳ぎ方だと思う。なぜなら、疲れてきたら、ペースをゆっくりにできるからだ。ペースをゆっくりしても沈まない泳ぎ方だ。クロールにしても、平泳ぎにしても、訓練されている人は大丈夫なのだろうが、普通の人がああいう泳ぎ方を海ですれば、すぐに息が上がってしまうのではないだろうか。足の付かないところで、息が上がってしまうような泳ぎ方をするのはとても危険だ。海水浴場での事故のニュースを聞くたびにそう思う。

 娘たちにはぜひ「のし泳ぎ」を伝授したいのだが、はたして聞き入れてくれるかどうか。