KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

ITが進めば進むほど人間の移動が増える

富山に戻ってきた。

数日前、東京で見たニュースステーションで、北陸新幹線(と九州新幹線)をフル規格で整備するための予算が付いたことを取り上げていた。完成は2012年(以降)で、完成すると、東京〜富山間が2時間10分で結ばれるという。この時間は魅力的だ。現在の、越後湯沢乗り換え方式よりも1時間以上短縮されるだけでなく、飛行機と比べてもかなり有利だ。羽田〜富山の飛行時間は1時間だけれども、空港までのアクセス時間と空港での待ち時間を入れれば、新幹線の方が有利になるだろう。

楽しみである。しかし、当然のことながら、ニュースステーションではこの決定を、黒字の見込めない投資であるとして、批判的に扱っていた。まあ確かにそうだろう。そのことについての反論はない。

しかし、司会の久米さんは、こうも言っていた。「IT革命が進めば進むほど、人間は移動しなくてもいいようになる。ITを進めるのことと、整備新幹線を作ることを同時にやるのは矛盾している」と。

これはちょっと違うのではないか。反対に、ITが進めば進むほど人間は移動する必要が増えてくるのではないだろうか。私自身の体験としてそう感じる。つまり、電子メールが一般的でなかった時代と、誰もがメールを使うようになった現在を比較してみると、現在の方が何かと呼び出される回数が増えているのだ。

メールや電子会議ができなかったときは、顔を合わすことのできるメンバーでしか会合ができなかった。しかし、メールや電子会議が使えれば、どこにいても連絡が取れる。しかし、メールや電子会議だけではやはりすまないのである。何ヶ月かに一回くらいは顔を合わせる必要が出てくる。それがいろいろなグループにおいて起こっているから、結局出張する回数が増えるのだ。

つまりこうだ。ITの進展は地方の人材を発掘することになった。それは同時に地方の人材をして都市部に出かけさせる回数を増やすことにもなった。だから、ITの整備と交通の整備は並行して進めていく必要がある。

まあ、それにしても、東京から静岡は近かった。まるで通勤電車のようになってしまった東海道新幹線に久しぶりに乗って、そう感じた。