KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

大学入試の悪問から無試験へ

週刊文春を読んでいたら、河合塾が大学入試の悪問、良問をリスト化しているという記事が載っていた。受験生がまっとうな勉強をしていても、その範囲から逸脱したような悪問が減らないということが問題視されている。その原因として、一人の教員が問題作成にたずさわっている場合に悪問が生まれやすいこと、また、問題作成にかかる労力が正当に評価されていないことが指摘されている。

多くの国立大学では、センター試験と個別試験の点数の合成で合否を決めている。個別試験では、それぞれの大学・学部・コースで独自の問題が作成される。この個別試験というのも、考え直すべき時期に来ていると思う。ひとつはその作成と実施に多大なコストがかかることと、その割に信頼性の高いテストになっているかというとそうとも考えられないことによる。

たとえば、センター試験の国語と個別試験の国語とで、成績の相関をとってみると、非常に低いことがあった。相関が低いのだから、別々の試験をやる意味があるのだ、という解釈もできるが、同じ「国語」という教科のテストで、互いの相関が低いということになれば、どちらかは「国語」と言いながら「国語」ではないものの能力を測っているのではないかという疑念も当然出てくるだろう。

センター試験も一年に複数回受験できるようにするという方針が出されているので、もう個別試験を廃止してしまってはどうだろうか。その代わりに、面接や、センター試験ではできないような実技試験、あるいは、高校時代の学生の活動記録を細かく審査するというようなことに力を回すのだ。

国立大学が独立行政法人化されたら、入学定員数も大幅に緩和されるだろうから、定員の二倍以内の受験生しか集まらなかった場合は、個別試験をせず、センター試験での最低基準点を満たしていたら、全員入学させるようにしたらいいと思う。そうしたら、受験生は受験料もかからないし、大学側も入試を行わずにすむ。お互いにメリットである。入学者数が増えれば、入学料や授業料を引き下げることも可能だろう。そうして大学は、偏差値ではなく、入学した後の教育内容をいかに充実させるかというところで勝負するようになる。