- 作者: 中野民夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2001/01/19
- メディア: 新書
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中野民夫「ワークショップ---新しい学びと創造の場」(岩波新書、2001)を読む。
前半は、ニューエイジの雰囲気が濃いワークショップの実例を詳細に語る。後半は、ワークショップの理論化を試みたり、ビジネス会議への応用などを書いているのだが、前半が濃いだけに、しらじらと見えるほどだ。それももっともで、ワークショップのご先祖はクルト・レヴィンのTグループやエンカウンター・グループであったりするわけで、その濃さはお墨付きだ。ビジネスでもとことんつきつめていくと、ニューエイジ色が出てきたりするけれども、それはこうした経緯を考えれば自然なことなのだ。
インストラクショナル・デザインの次のチャレンジはワークショップだと考えている。しかし、それは困難を極めるだろう。おそらく分析的アプローチでは的をはずしてしまう。そうではなく全体論的なアプローチでなければ、うまくとらえられないだろう。もともとワークショップが生まれた経緯を考えれば当然のことだ。魚を切るのにノコギリは使えない。
とはいえ、どんな要件がそろえば、どんな人材がそろえば、どんなデザインがされていれば、ワークショップが機能するかということは知りたい。ID研究者の悲しい性でもある。そうしたワークショップの成立要件を探すために、この本はさまざまなデータを提供してくれている。まずは、卒論ゼミをワークショップ化したいのである。そのための実験のヒントはこの本の中にたくさん見いだすことができた。少しずつ報告していきたい。