KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

中野民夫さんの全体ワーク

ファシリテーションフォーラム2010(その3)

最後は,岩波新書『ワークショップ』の中野民夫さんの全体ワーク. 300人.この人数をどう回すのかが興味の焦点.

冒頭, 「ワールドカフェをやろうかという話もあったけど, まとめにはふさわしくないと判断した」 と.正解.

私のツイートから進行を追う.

  • 落ち着いた語り口.「瞑想」とは言わないが,その導入.ここまでの興奮を冷ますということに注力している.
  • 意外にも一人の時間を大切にしている.語りと静寂のダイナミズムが素晴らしい.
  • 続いてダイアローグ.素直に語り,素直に聞く.常に開いている.
  • 5人組で15分.席替えをして,「大切な問い」について.大きな問いを出してあえて混乱させる.
  • 最後はハーベスト.全員が輪になる.感想をシェアする.
  • 壁を向いて,帰ったとき,自分の現場で何をするかを内省.こういうちょっとした作業が大切.
  • 最後は,3分間全員が思い思いの声を出す.体を使って終わる.3分間は意外と長い.この長さが,体験の深さを導く.

すばらしいワーク(運営という視点でね). もちろん,参加者の2/3がFAJ会員であることも一因. だって,その大部分がファシリテーターを指向しているのだからね. 逆に,盛り上がらなければおかしい.

参加したゼミ生の間には,

  • あやしげ(セッションの区切りにチベットの鈴?を鳴らしたり)
  • 宗教的(3分だけど瞑想をさせたり,みんなで声を出したり)
  • 自己実現セミナーみたい(最後に感想をシェアするところとか)

という意見があったけど, それは当然.私自身この雰囲気を懐かしんでいたかもしれない.

『ワークショップ』を読めばわかるけど,これはスピリチュアリティ満載. 著者自身,トランスパーソナル心理学の人たちと親交があると書いている.

むしろ納得したのは, このようなファシリテーションやワークショップ,あるいは,広くポジティブサイコロジーや マインドフルネス心理療法.これらのような新しい形で,この思想が生き延びているということだ.

ワークショップ―新しい学びと創造の場 (岩波新書)

ワークショップ―新しい学びと創造の場 (岩波新書)