KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

工学者の実用、心理学者の妄想

先日(5/18)、ICレコーダとスライドファイルだけで、授業の補償はできると書いたが、まさにそのテーマでの論文を見つけた。山本芳人「ビデオカメラを使わないVOD講義コンテンツの作成とその教育利用」(教育システム情報学会誌、21(2), 117-121)。

これは、パソコンの画面キャプチャソフトで動画ファイルを作り、それに音声を同期させて、VODを作るというものだ。制作コストのかからない方法として評価できる。研究速報で、アンケートデータも検定に乗らないようなサンプル数だが、とにかくアイデアを具体化して実行したという事実に意味があるのだ。

やはり私が考えつくようなことは誰でもが考えている。とはいえ、心理学者と工学者では発想のベクトルが明らかに違う。工学者は、スライドをキャプチャしてVODパッケージに仕上げようとする。一方、心理学者は、そこまで自動化することは「あえて」せずに、学習者自身にスライドを操作させると、学習が促進されるのではないかという妄想にとらわれるのだ。