- 作者: 矢野真和
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2001/03
- メディア: 単行本
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実証的なデータを基礎にして、教育を経済学の視点から見ることによって教育に関わる政策がどうあるべきかということを論じています。
たとえば大学は良く言われるようにレジャーランドなんかではなく、ビジネスランドだとということ。大学に行くということは、四年間の学費とその間に働いたとしたときに得られる賃金(機会費用)を投資したということであり、この投資が生涯所得の差となって現れてこなければ投資の意味はなくなります。1970年前後では、大卒者の生涯所得は、高卒者よりも40%大きかったのですが、この差は縮まりながらもその後も安定的に推移して、1997年では、大卒者は高卒者よりも生涯所得が29%増加しています。
この生涯所得の増加分は、大学四年間にかかる費用を、預金に預けたとしたら、複利で6%の利子に相当するそうです。そして1980年以降現在まで、安定的に6%台を推移しているとのことです。
そしてこの現象は日本に特有のものだといいます。引用すると「各国の収益率をみると、ほとんどの国で逆の結果になっている。大学よりも高校の収益率が大きいのである」。しかし、この「各国」というのはどの国を指しているのでしょうか。少なくとも、大学卒が高校卒の1.9倍の生涯所得を得ている「超学歴社会」アメリカではないはずですが。