Lessons in Learning, e-Learning, and Training: Perspectives and Guidance for the Enlightened Trainer
- 作者: Roger C. Schank
- 出版社/メーカー: Pfeiffer
- 発売日: 2005/02/14
- メディア: ペーパーバック
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2001年の「Designing World-class E-Learning」(http://d.hatena.ne.jp/kogo/20050305で取り上げました)に引き続き、シャンク先生が、なぜeラーニングは面白くないのか?---もともと面白くないテキストを元にして作られたなら面白くないに決まっているし、もっと深い理由としては、そもそもトレーナーが教育とは面白くないものだと信じていることにある、と喝破します。そして、学習が面白くなるためのチャレンジを披露しています。
まず一つ目は、もういいかげんレクチャーは止めよう、と。そして、前々からシャンク先生が主張している「Learning by Doing=することで学ぶ」と「Goal-Based Scenario=目標をもったシナリオ」を足場にして、「Story-Centered Curriculum=ストーリー中心のカリキュラム」というアイデアを提示し、カーネギーメロン大学での実例を紹介しています。
大学は、現実社会で使い物になるような人材を育てようとはしていないということを誇っている。実際、大学が育てようとしているのは研究者であって、その意味ではカリキュラムはうまく働いている。しかし、多くの学生は研究者になろうと計画しているわけではないのだから、これは全く奇妙な現象だ。
だから、学生の人生目標をにらんだストーリーを設計し、その下でサブシナリオや下位課題を配置し、終結するところまでのデザインが必要なのだというわけです。ちなみにシャンク先生が、学生が獲得すべきだと考えているスキルは、「推論、対話、対人関係=reasoning, communication, human relations」の3つだそうです。
「Fun=面白い」というのは定義が難しいけれども、単にゲーム仕立てにすることや得点を競わせたりするものではなくて、学習者を「engage=のめり込ませる」ことだろうと。そこでは、引き込まれたり、ワクワクしたり、どきどきしたり、する感情が伴っています。そのような「次のページをめくらずにはいられない」ようなプログラムを作ろうと主張しています。
なぜシャンク先生がストーリーにこだわるのか。それは彼自身がやってきた人工知能の領域での研究にかえってくるのですね。そのことが最後にわかります。