KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

「アウシュヴィッツ」

BBC制作のこの番組を、NHKが45分×5回で放送しました。アウシュヴィッツ収容所開放60周年の番組であるとのことですが、こういう番組を作ることに敬服します。

強制収容所で何がどのようなシステムで行われたのかということの検証と再現、そして、生き延びたユダヤ人やナチスの親衛隊員、ロシア軍の軍人、ポーランド人といったさまざまな人たちからの直接のインタビューから番組が構成されています。

強制収容所の所長であったルドルフ・ヘスアウシュヴィッツについて戦後、手記を書いていますが、そこには自分が指揮を執ったことについての感情的な記述は一切ないとのことです。ただひとつ彼が後悔していたのは、自分の家族のために十分な時間を割くことができなかったことだったといいます。

強制収容所に関与した人の9割は戦後の裁判で不起訴になりました。そのうちの1人は、「生きるための選択肢がないときに、その条件下で自分ができる最善の道を取ったことに対して、罪を問うことができるのかどうか」とインタビューで答えていました。それでもなお、ホロコーストはなかったと一部の人々が主張する現代において、「私は見た。そこにいたのです」ということを訴えたいと言っていました。