- 作者: 茂木健一郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/09/05
- メディア: 新書
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キー概念は、偶有性=contingency。心理学でcontingencyといえば「随伴性」だが、ここでいう「偶有性」とは、世の中で起こることが、半分は必然的に、半分は偶然に起こるということだ。たとえば、宝くじを買った人の何人かは必ず当たるわけだが、誰に当たるかはわからない。
ちまたの占いが、科学的根拠がないにもかかわらず、衰えることがないのは、その占いの内容が、誰にでもあてはまることを言っている(必然)一方で、少しだけ「おやっ?」と思わせる内容を混ぜていて(偶然)、そのバランスが、脳にとって心地よいのだと考察する。
世界が偶然だけで起きているとすれば、投げやりにならざるをえないし、反対に必然だけで決められているのなら個人はそれをコントロールできない。ある程度はコントロールできるけれども、それから先は偶然の領域にはいるというのが人生だ。そのバランスが偶有性。
世の中には、「世界知」として世界の必然的なルールを明らかにしようとする活動(科学)と、「生活知」として人生の意味を見いだそうとする活動とが、混在している。
科学をする人は自分にとらわれない世界の見方(デタッチメント)をしようするはずとして、社会構成主義を批判しているが、この点は、もう少し詳しく聞きたかった。