KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

スティーブン・ジョンソン『ダメなものは、タメになる』

ダメなものは、タメになる テレビやゲームは頭を良くしている

ダメなものは、タメになる テレビやゲームは頭を良くしている

知能があがり続けているというフリン効果がベースとなっている。ゲームというところを授業に置き換えて読むと吉。

  • ゲーム世界では、いたるところに報酬がある。…ゲームのインターフェース設計において最も重要な作業は、プレイヤーが入手できる報酬と、当座必要とされる報酬の量を絶えず本人に知らせることだ。
  • ジョン・デューイは『経験と教育』でこう述べる:「おそらく教育学上最大の誤りは、人間はそのとき学習している特定の内容だけを学ぶという考え方だ。永続的な態度や思考の形成という付随的な学習のほうが、綴り方の授業や地理や歴史の授業よりも、はるかに重要になることがしばしばある。将来にわたり根本的に人を左右するのは、そうした態度なのだから」
  • 未経験者はコンピュータの前に座って言う。「何をすればいいの?」そして居あわせたゲーマーが説明してやるはめになる:「何をするべきか、きみが見つけだすんだよ」。理解するには、そのゲームの論理の奥行きを調査(プロービング)しなければならないのだ。
  • 調査とテレスコーピングという技には、どこかとても人生に似たものがある。ほとんどのテレビゲームはわざと非現実的に作られた世界が舞台で、最も現実的なゲームでさえ、小説や映画が作り上げてくれる鮮明でこと細かな現実の幻影には及びもつかない。
  • ケーブルでの再配信で人気の出る番組は、五回見ても退屈にならないから人気が出るわけだ。そして五回見ても飽きないということは、複雑性は減らすより増やす必要があるということだ。
  • ゲーム学者ジェイムズ・ポール・ジーはまさにこの現象---「技能範囲」の原理と呼ばれている---が成功したビデオゲームアーキテクチャに作用しているのを観察している。「それぞれのレベルはプレーヤーの技能の上限あたりで差し招き、あらゆる点でギリギリこなせるくらいの難しさを追求している。
  • ネットワーク化されたテキストには、もちろん独自の知的な豊かさがある。脱線、注釈、会話---それがみんなその生態系の中で花開き、どれもすばらしく知的になれる。手も、それはある一貫した議論を二百ページにわたって読むのとは違った種類の知性を持っている。