KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

おとなの研究コース終了で考えること

2022年1月15日(土)

2月5日(土)に第10回おとなの研究会を開きます。これは2017年12月からスタートしたおとなの研究コースでの成果を発表してもらう機会として開いてきたものです。この研究会は今回で最終回となります。おとなの研究コースには4年間にわたってたくさんの人に参加していただきました。最後は9期生でした。

さて、この4年間で何が達成できたのかというふりかえりと評価を行いたいです。詳しくは最後の研究会でお話ししたいと思っています。評価の視点は、端的にいえば、大学というシステムの外で独立研究者を育てることができたのかということに尽きます。この視点でいくと完璧に達成されたとはいえません。コースからの離脱者は多かったです。その一方で、何割かの人については研究のおもしろさと厳しさを自分のものとしてくれたのではないかと思っています。

コースの形態としてはSPOC (Small Private Online Course) =小さくて個別のオンラインコースを先取りしてやってみたわけですけれども、改善の余地は大いにあります。しかし、それはコース設計と運営の問題だけではなく、物理的な環境と社会的な文脈の問題を考えずには解決できないでしょう。

物理的な環境というのは、第一にはどれくらいの時間をコース学習にかけられるかということです。このコースに参加してくる人の大部分はフルタイムの仕事を持っています。その中で2週間ごとに出される課題を提出していく必要があります。ただレクチャーを聴くだけではなく、課題をこなしていくということがこのコースの修了条件です。このための時間を作れるかということが分岐点です。

社会的な文脈というのは、このコースを受けることが参加者にとってどのような意味を持つのかということと、コースで修得した知識やスキルが自分の生活や人生にとってどのように意味づけられるのかということです。だまって続けていると、日常生活も仕事もルーチンワークに収斂していき、退屈なものになります。そこに「学び」という媒介項を入れてやると、仕事にも生活にも意味が与えられて、刺激的なものになります。

学び続けている人は、「学べば学ぶほど学ぶことが多くなっていく」ということを体験的に理解していますので、この行為には終わりがないのです。そして、焦ることなく学びを続けていくことができるのだと思います。

そんな展望で、おとなの研究コースを開催していたわけですが、ここでいったん区切りをつけたいと思っています。この次に、どんなことをやるかは今考えているところです。