KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

【映画】AlphaGO

2023年3月16日(木)

Youtubeのおすすめに出てきた「AlphaGO」(2017, 90分)を全編みてしまった。これはGoogle DeepMindチームが作った碁のAIプログラムAlphaGOと韓国のチャンピオン、リ・セドルの5番勝負を中心とした、ドキュメンタリー映画です。Youtubeで見られますので、もしよろしければどうぞ。

https://www.youtube.com/watch?v=WXuK6gekU1Y

碁の盤面の組み合わせは桁違いに多く、これまでの碁プログラムは人間に全く勝てませんでした。DeepMindチームはこれをニューラルネット深層学習によってプログラムを組み、人間にチャレンジしたのです。

これが6,7年後の現在のChatGPTにまで展開したことを考えるとうなるものがあります。

リ・セドルとの対戦はAlphaGOが3連勝し、勝ち越しを決めたあと、リが1勝をあげ、結局、AlphaGOが4勝1敗で終わりました。これは世界中にセンセーションを巻き起こしました。リは、対戦前「5-0で勝ちます」と言っていたのです。

彼の次の言葉は深いです。コンピュータプログラムの指し手の方が【創造的】であり、人間の方がしばしば【慣習的】である、ということ。AlphaGOの指し手はしばしば定石を外しており、人間にはその指し手の意図が分からないのです。しかし、勝負が終わったあと検討してみると、その【意図がわからない指し手】が勝負を決めていたことが明らかになります。

広げてみると、意図がわからないことの中には創造的なことが含まれていること、創造的なことは慣習的な考え方をする人とってはまったく理解できない=意図がわかないことであること、であるということのようです。

AlphaGOはリとの第4戦で、ありえないポカミスをして、それが初めての負けにつながりました。なぜこのミスをしたのかは、DeepMindプログラムチームのメンバーにもわかりません。それは深層学習したパラメータに深く隠されており、プログラマはそれをみることも操作することもできないからです。このエピソードすらもまた、AIが人間的であるように思えてきます。