KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

プレゼンテーションは向上したが

先週は卒論発表会があった。その感想を少し書き留めておきたい。まず、プレゼンテーション力はずいぶん向上したと思う。OHPの作り方、発表の仕方など破綻するところがなかった。きちんと練習をしたのだろう(私も自分のゼミ生の発表練習につきあった)。それをほめたたえた上で、自分の研究をもっとよくするためにはどうしたらいいのだろうか。いくつか提案したい。

(1) 目玉を作ること。どこかでだれかが言っているようなことをまとめたような研究は面白くない。聞き手は、あなたに独自性、言い換えれば、こだわりの部分を期待して聞いているのだ。つまり、「この私が大発見したことは・・・」ということを聞きたいのだ。大発見とはいっても、ささいなこと、とるにたらないことでいいのだ。それまでに誰も言ったことがなかったのであれば、すべて大発見だ。それが目玉になる。

(2) 無難な結論にするな。せっかくデータを取ったのに、それを深く読みとることをしないで、ありきたりの無難な結論にもっていってしまうケースが多い。無難な結論にしなければ収まりが悪いと思っているのか、あるいは、研究に「正解」があって、それは無難な結論のようなものだと信じ込んでいるのかもしれない。声を大にして言うが、研究に》正解はない《。むしろ無難な結論やみんなが考えそうなことがウソであることが多いのだ。一見変なデータが出たからと言って、実験がうまくいかなかったなどと簡単に考えずに、虚心にデータを読みとること。そこからあなたの研究の「目玉」ができてくるのだ。

(3) 「反省」や「今後の課題」を私は評価しない。発表の最後に、今後の課題と称してやり残したことや反省を述べることが多い。これは一見謙虚であり、そうした態度に好感を持つ聞き手が大部分だろうが、私は評価しない。今後の課題などというが、それがまさに中心テーマである場合が多いのであって、それがわかっているならなぜあなた自身がなにを差し置いてもやらなかったのか、と思ってしまうのだ。やるからには、今後の課題などひとつも残さずにやってほしい。「このテーマに関しては私の後ろに研究はない」と言うくらいの気構えで研究してほしいのだ。

最後に、先生の仕事と学生の仕事について。きびしい質問やコメントをした。きびしい質問をするのは先生の仕事であり、それに対して自分の研究を防衛するのが卒論生・修論生の仕事なのだ。もし先生からの質問に対して、発表者がディフェンスできなければ、留年するくらいの覚悟で臨んでほしい。ここでは先生も学生もない。頭を使った一対一の真剣勝負である。