KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

面白い日記と先鋭化

「ぢょしゅとほほ日記」さんが読んで面白い日記とはどうものかについて考察している。そこから霊感を得て、次のようなことを考えた(ぢょしゅさんに感謝します)。

 文章の面白さについてはこんなことが言えるだろう。赤尾さんの「ゲームの大学」(メディアファクトリー、1996)でも紹介されている、チクセントミハイのフロー理論によれば、自分の技能と挑戦レベル(難しさ)が釣り合ったところでプレイヤーは面白さを感じる。これを文章に当てはめれば、自分の読解力と文章の要求する読解力がちょうど釣り合ったときにその文章に面白さを感じるということになる。易しすぎる(内容が簡単に予想できる)文章も、難しすぎる(何が書いてあるのか理解できない)文章も面白いとは感じられない。

 さて、読解力とは何かというと、読みの基礎的技能を除けば、(力的なものではなく)その人が持っているスキーマ(枠組み的な知識。ぢょしゅさんのいうテンプレート。人工知能研究ではフレーム)の数によって規定されるだろう。ある種のスキーマを持つ人が特定の人の書く文章のファンになり、作者はそのファンのフィードバックを受ける。そうするとその作者の書く文章はファンの持つスキーマを前提として書くので、どんどん先鋭化する。それが行き過ぎるとファン以外の人には理解できない文章になる。

 固定化したファンを持つ作者はどんどん先鋭化する。もはや新人は入門書を読まなければ、それが理解できないほど先鋭化する。一方、ファンが固定していない作者はフィードバックをあまり受けないので先鋭化しない。先鋭化しないので、新しいファンがやってきては去るというサイクルで安定化する。これはWeb日記にも当てはまることだろう。