質的研究方法ゼミナール―グラウンデッドセオリーアプローチを学ぶ
- 作者: 戈木クレイグヒル滋子
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2005/09
- メディア: 単行本
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グラウンデッド・セオリー・アプローチのデータ分析手法をゼミ形式によって紙上で学べる本。先生と学生の分析をめぐるやりとりも会話体で収録されており、どのように考えていけばいいのかがよくわかる。なるほど、この本もその意味でグラウンデッド・セオリー・アプローチなんだ。
木下流修正GTA(http://d.hatena.ne.jp/kogo/20050419/p1)との相違点は、会話データの切片化をすること。文レベルでの切片化をするのは、前後の文脈から切り離し、主観から自由になることだ。そのことによって、データから概念が浮かび上がってくるようになるという。ここが、切片化してしまうと文脈が破壊されてしまうとする修正GTAとの分岐点だ。
切片化した文にラベルをつける。それをカテゴリーにまとめる。そして、そこで起こっているパラダイム(枠組み)を見いだす。パラダイムには、状況と行為・相互行為、帰結が含まれる。つまり、これは認知心理学で言うところの物語スキーマに他ならない。そしてデータからたたき上げられたパラダイムに基づいて研究者はストーリーラインを書いていく。なるほど、これはこれですっきりとした方法論だ。