KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

一人で歩いていることの寂しさ

送られてきた『大学教育学会誌』を読んでいたら、PSI(個別化教授システム)についてのレビュー論文が載っていた。まさに自分が取り組んでいるテーマなので、「へえ、日本にもやっている人がいるんだ」と思いながら読み進む。すると「日本におけるPSI」という文脈で私の研究が盛大に引用されていた。ちょっとうれしかった。その著者にメールでも打ってみようかなと思ったりする。

研究と教育ということを自分の仕事にしていると、ときどき一人で歩いていることの寂しさを感じることがある。不安と呼んでもいいか。道もよく見えない薄暗い中を一人で歩くことの不安と寂しさ。もちろん周りを見渡せば、にぎやかにおしゃべりをしながら歩いている集団も見つけることができる。でもその中に入ることはできないんだなあ。おしゃべりは確かに楽しいんだけどね。

しかし結局、僕は一人でいることが好きなのだろう。あれをやれ、これをやれ、などと言われたとたん「それは僕の仕事じゃない」という気分が支配して、おもしろくなくなる。だから人と人との関係で大切なのは、指示したり、指示されたりする関係ではなくて、お互いに認めあう関係を作ること。たった一人でも認めてくれる人がいたならば、一人で歩くことも寂しくない。

とはいえ、実際上は、一人でやっているだけでは限界がある。だから人はグループや会社を作るのだろう。それは明らかに一人ではできないことを生み出している。要するに、一人でしかできない種類の仕事があり、また一方で、一人だけではできない種類の仕事があるということだ。一人でしかできない種類の仕事を自分の生き甲斐にしている人は、自然に、寂しさに耐える術を身につけている。