KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

大学教育学会@千葉大/出店のコツ

 千葉大学で開かれた大学教育学会に参加する。自由研究で、PSIのレビューについて発表するが、大学評価のセッションに入れられたため、ちょっと浮き気味だった。しかし、セッションそのものは面白かった。

 京都大・高等教育教授システム開発センターの石村さんの発表は、大学の第三者評価についてだったが、これが議論の発端。宮城大の半田さんは「第三者が、あなたと私から分離されたものだとすれは、それはコミュニケーションを初めからなくしたものとして考えなければならない」と。もし、「私とあなた」の関係で評価するならば、それは醜い権力構造が現れる機会にもなってしまう。だからコミュニケーションのとれない第三者を設定できるならば、そこが評価することでいいのだが、はたしてそうした第三者を設定できるのかどうか。

 「大学教員を誰が評価できるのか」というような言い方がなされることがある。こういう言い方をするひとは「そんなものはいない」といいたいのだろうが、しかし、私にいわせれば「誰でも評価できるし、現にしている」。ポイントは、オフィシャルに行われる評価が、「現に今している(実践的)評価」とかけ離れたものにならないこと、そのことだけがポイントなのではないか。

 私も尻馬に乗って発言。評価がpeer reviewである限り、うまくいかないのではないか、と考えている。たとえば、プロ野球の選手は、自分の一年間の成績データを持って、契約の更新に臨む。これは一種のネゴシエーションであり、こういう過程が大学・教員の評価の際にも必須なのではないか。

 とりあえずの結論として、「大学教員が自分の成果を立証する義務が生じている」というところに収束。

 これは並行セッションのため聞けなかったのだが、松阪大学の宇田さんが実践している「ブリーフレポート方式」は注目に値する。授業時間内に400-800字のレポートを書かせるというもの。最初に材料なしで構想を立てさせる。そこで十分脳が活性化された後で、レクチャーや実習を行い、最後の20分間でレポートを仕上げさせるという方法だ。レポートを書くという最終課題のために、授業内のすべての活動が集約される。

 午後は、「自己表現力の教室」の出店で、本を売るお手伝い。情報センター出版局のMさんと、共著者の荒木さん、筒井さんと一緒に。よく考えたら、著者の3人が集まるのは、去年の倉敷の学会以来のこと。本が予想以上の売れゆきであったことを喜び合う。

 出店では、シンポジウムの休憩時間で人が出てくるたびに本が売れた。合計で30冊以上売れた。200人規模の大会であることを考えるとなかなかのもの。どこの大学でも「話す力・書く力」には関心が強い。「うちの大学でも、こういうことをやっているんですよ(あるいは、やろうとしているんですよ)」という人が多い。

 ひとつ、荒木さんの話だが、こうした出店で売れ行きを良くするコツ。本を山積みに積み上げてはいけない。5-6冊を表に出しておくだけにする。売れ行きがよく、もうこれだけしか残っていない、ということを演出する。一冊売れたら、その分を補充して、常に5-6冊だけを見せておくようにする。確かにこれは効果があるようだ。

 もうひとつ観察していてわかったこと。たとえば三人が同時に本をぱらぱら見ているとき、一人目が買わずにそのまま本を置いてしまうと、残りの二人も買わずに行ってしまうことだ。もし一人目が買ってくれると、残りの二人もそれにつられて買う。同調行動と名付けるべきか。私は、自分がサクラになって、本を買う一人目の役を演じてみたい誘惑にかられた。

 学会の懇親会は出ずに(←学会の懇親会が苦手なの)、KENさんとのオフ。私のわがままで千葉大のあるJR西千葉駅に集まってくれたのは、syoさん、HIKOさん、それからKENさんの友人のMさん。詳しくは書きませんが、とても楽しい時間でした。たくさんおしゃべりしました。