KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

浅野誠さん講演「大学の授業を変える」

きのう書いた、VAIO QRイーサネットへの接続だが、結局ウィンドウズに詳しい人の助けを借りて、解決した。マニュアルでは「TCP/IP->イーサネット」となっているところを、「イーサネット」の代わりにボードの型番になっていたのが混乱の元だった。しかし、これは自分一人でやっていてはいつまでたっても解決できなかっただろう。恐るべしウィンドウズ。まあ、これにめげずになるべく使って、慣れていくことにしよう。とほほ。

とはいえ、掲示板の方には次々とアドバイスをいただいた。ありがとうございます。ウィンドウズ初心者の私には心強いです。

大学はどこでも、FD=Faculty Development=教員開発で大変だ。「教員開発」というのはなんだかおかしい用語だが、「人材開発」ということばもあるので、慣れればそうおかしくない。要するに教員の技能をもっと開発しようということで、とりわけ授業を運営する技能に焦点が当てられている。大学教員は教員免許を持っていなくてもなれるので、そもそも授業のやり方というのを教わってこない人の方が多いのである。という私も教員免許は持っていない。

今回教育学部ではFD講演会と称して中京大学の浅野誠さんをお呼びした。浅野誠さんについては『大学の授業を変える16章』(大月書店)という著書も読んでいたし、学会でも発表を聞いたりしていた。授業の都合で、前半しか聞けなかったが、話は非常に面白かった。

浅野さんはまず、大学の授業で非常に一般的な「講義形式」というものが、そもそも学生にとってはレベル的に高度過ぎることを指摘する。90分間ただしゃべり続けて、学生を引きつけ、理解させることができる人はほんのわずかしかいない。それにもかかわらず、学術講演のレベルで話すというスタイルを大学教員が濫用している。それが授業が独り相撲になっている原因だ。そうではなく、学生にあった、彼らを引き込んでいくような授業スタイルをあみだしていかなくてはならない。

世界の教育の動向を見ても、大学だけでなく小中高でも、レクチャー型の授業はその割合が低くなっている。反対にワークショップ型(学生参加型、ディスカッション型)の授業が増えてきている。ワークショップ型の授業を成功させるためには、さまざまな小道具(プリント、手品、模造紙…)や、討論のさせ方の技術、そして教員だけでなく学生相互の協力やTAの活用といった工夫が必要になる。

たとえば短冊形発表。学生一人一人に2枚ずつ短冊(B4の半分くらい)を渡し、マジックで意見や質問を書いてもらう。そしてそれを教室のまわりの壁にセロテープではりだす。学生全員の意見を一度に見渡すことができるので、そのあとの討論を活性化する。

討論のさせ方についても、ただ「みんなで話し合おう」というのではダメだ。たとえば、「代表肩たたき討論」という方法では、参加者は何らかの属性や立場によって4つ程度のグループに分ける。そして、真ん中に向いた形で4つの椅子を置く。それぞれのグループから誰か一人がその椅子に座り、討論を始める。グループの他のメンバーは椅子の後ろにつく。討論者が煮詰まったり、意見がでなくなったりしたら、他のメンバーはすかさず彼と交代して続ける。このようにして、常に勢いのある討論ができるし、他のメンバーも自然に、代表の4人の意見をよく聞く。

こうした方法は実際に自分が体験してみて初めてよくわかるというところがあるる。その意味で今回の講演会は役に立つ。私自身、PSI方式や質問書方式の授業では、かなりコツをつかんできたと思っているが、討論をどのようにさせたらいいのかということについて悩んでいた。ひとつ、ブレイクスルーのきっかけになりそうな気がしている。