KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

コンピュータゲームを大学の専攻課程に

WIREDのニュースを読んでいて、「コンピュータゲームを大学の専攻課程に」という記事に興味を引かれた。カリフォルニア大学アーバイン校で、コンピュータゲームの専攻を作ろうとしているが、「不純な動機を抱く人の関心を引いてしまうかもしれない」という反対が出て難航しているそうだ。

こうした新しい専攻は、アメリカの大学だったらすぐにでもできそうな印象があるけれども、反対があるものなのかと意外に思った。その専攻の内容の説明を読むと、

この副専攻を取りたい学生は、10の科目で単位を取得しなければならない。たとえば、プログラミング、コンピューター・グラフィックス、人間とコンピューターの相互作用、アニメーション、デジタルイメージング、認知科学、そして人間の問題解決法などの科目だ。具体的テーマとしては、仮想環境と人間の行動、性別と表現、デジタル・マルチメディアの設計と配布などが扱われることになる。

ということで、基礎的な部分と応用的な部分が組み込まれている。これをゲームということでまとめればなかなかいい専攻になるのではないかと感じた。人材を集めて、たとえばこんな専攻を作っていくことが、これからの大学の生き残り策になるのではないか。

さて、この単位の中で「人間とコンピューターの相互作用、認知科学、人間の問題解決法」といった部分は心理学の領域とその周辺領域だ。

教養の心理学の授業も終盤にさしかかっている。授業内容の順番として、恋愛の心理学や性格テストなどの取っつきやすいものを、はじめの方に置いて、最後の方は、知覚理論といったちょっと難しいものを置いている。普通の心理学のテキストではこれは逆の順番で、知覚のような基礎心理学を第一章に置いているはずだ。私の授業では、とっつきやすさを考慮して、これを逆にしているわけだ。

そうすると、最後の方になって「今日授業でやったのは心理学じゃないような気がしました」というようなことを質問書に書いてくる学生がけっこういる。人間がどうやって文字を認識するのかとか、立体視するのかということは、まさに心理学の研究テーマなんだよ、ということを説明する羽目になる。

ということは、インタフェースの問題とか、ゲームをしているときに人がやっている問題解決過程なんかもまた、心理学の領域ではないと思われているのだろうな。

教養の心理学でも、世間的には心理学とは思われていないけど実際は心理学の重要な分野について、わかりやすく説明していく必要があるかなあ、と考えさせられた。