KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

教育学部の合併統合

毎日新聞ニュース速報によると、近隣の大学学部と統合されてもいいかということを教員養成系の教員に聞いてみたところ、3人に1人が「よい」と考えていることがわかった。

 国立の教員養成系大学・学部の教員3人に1人が「近隣地域の大学・学部と統合されても良い」と考えていることが17日、研究者グループの調査で分かった。少子化に伴 い教員採用数が減少し、この3年間で定員が5000人削減されるなど学部規模も縮小していることが背景にあるとみられる。

 国立大の教員養成学部の教員を中心にした研究グループが、全国の教員6700人を対象に実施し、950人が回答した(回収率14%)。

 近隣の大学・学部と統合されて良いかどうかについて「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」と否定的な回答が43%を占めたが、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と肯定的な回答も32%に上った。

回収率14%と低いのが気になるが、統合賛成派か反対派のどちらか一方が、アンケート回答に積極的だという理由も見あたらないので、この割合はいいせんをいっているのではないかと思う。しいていえば、賛成派、反対派のどちらも回答しやすいので相殺しあうということか。回答しないのは中間層かもしれない。

教育学部の統合について反対派が多いのは予想できるとして、むしろ賛成派が32%もいたのだということがこのニュースのポイントだ。

これはどういうことなのか。企業同士の合併はよくニュースになる。その場合は、両者のバランスが大切だともいわれる。たとえば、強い会社と弱い会社が合併したときは、弱い方は、新しい組織の中で虐げられるのではないかという不安があるだろう。しかし、弱いままで競争に負けてしまえば、会社そのものがなくなってしまうのだから、強いところと一緒になるのは頼もしいともいえる。そう考える層、つまり、合併しても自分自身は生き残っていけると考える層は、合併を歓迎する方に回る。

3分の1が賛成に回ったのは、もはや現在の教育学部のあり方に見切りをつけているということだろう。教員の定員削減はあるし、教員の新規採用も減っている。先は行き詰まっている。

きのうのニュース23で、立花隆が言っていた。「小中高の教員を増やせばいいのだ」と。そうして20人学級をつくって、きめ細かい教育を実現させる、と。私も以前から、「少子化の今こそ、教員をたくさん採用して学校教育のやり方を変えるときだ」という考えを書いてきた。

附属学校の存在も危機にさらされている。もし20人学級にしたときに、クラスはどう変わるかということを実験するなら、研究の自由度の高い附属学校はいいフィールドになるだろう。しかし、実際は優秀な子供ばかりばかり集めているから、研究をしたとしても、20人学級の効果なのか、子供がもとから優秀なためなのか、見分けがつかない。少しくらいの「荒れ」があったほうが研究フィールドとしてはいいのだが、それは望むべくもない。

だいたい、

また、大学付属校を「調査・研究」対象として活用している教員は3割で、教育研究への利用の低さも分かった。

ということなのだから(同記事)。

教育学部の先行きは暗い。学校の教員を養成するだけの学部ではなくて、生涯学習、社会教育、遠隔教育などさまざまな形態での「教えることと学ぶことの科学」を構築しなければ、先はないだろうな。

お絵かき、第5弾「じてんしゃ」。補助輪付きの自転車に乗っているところだが、まだ自分でこげない。ペダルを回すということは、誰でも当たり前にやっていることだが、子供にとってはそれもまた学習しなければならないことなのだと再認識する。