KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

上野徳美他『ナースをサポートする---ケアのための心理学』

ナースをサポートする―ケアのための心理学

ナースをサポートする―ケアのための心理学

以前「看護心理学」について、日記に書いた。それを読んだ方から、『ナースをサポートする---ケアのための心理学』(上野徳美他著、北大路書房、1999、1800円)を送っていただいた。ありがとうございます。

これはいい本だ。序章から、ナースの悩みの調査結果などを提示して、心理学がナースの悩みにどう応えられるのかというスタート地点を明確に示している。

1章「燃えつきないためには」では、ストレスの話を基礎として、バーンアウトしないためのヒントを提示している。2章「患者さんのこころとかかわるとき」では、性格の話とこころの病の話を基礎として、患者とのコミュニケーションの仕方をカバーする。3章「スタッフとのかかわりのなかで」では、人間関係とチーム医療をカバーする。4章「カウンセリングを学ぶ」では、カウンセリングの基礎を説明して、ベッドサイド・カウンセリングのやり方を説く。5章「生きることと死ぬこと、そしてみとること」では、子どものこころ、老いのこころを説明し、死の教育や喪の仕事までを説く。6章「看護を科学する」では、看護研究の意義を説き、その研究方法をやさしく説明している。ここは看護学生向けの統計学の授業でも使えそうだ。

というように、心理学をただ看護現場に適用したということではなく、出発点としてナースという仕事があり、そこに心理学がどうかかわっていけるかというポリシーで貫かれている。いい本だと思う。