実名主義を貫いてきた心理学フォーラムから、インターネットの世界に出てみると、そこは野蛮で荒涼とした場所だった。たとえていえば、前者はお互いを知っている町内会であり、後者は見知らぬ人が行き交う渋谷駅前という感じだ。
したがってトラブルの質も異なる。前者では、トラブルは常に、コミュニティの中心部と周辺部との対立であった。正統的周辺参加がうまくいくかいかないかがフォーラムの成否を決めた。しかし、参加システムをうまく確立することは困難だったように思う。オープンなフォーラムであることを目指せば目指すほど、コミュニティは分裂の可能性を強くすることになる。
一方、インターネットでは、無礼であることがデフォルトであり、ケンカこそが華になる。フォーラムではケンカが致命的な亀裂を生むのと対比させてみると面白い。
