KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

『きょうから日記を書いてみよう』を読んで

eスクールの学生さんである塚本茂さんが、私の『きょうから日記を書いてみよう』を読んで、感想をeスクールのBBSに書いてくれました。eスクールのBBSはクローズドなので、こちらに転載したいということを打診したら、快諾を得たのでここに転載します。全体は3回分の投稿になっていますが、読みやすさのためひとつにまとめました。
きょうから日記を書いてみよう〈1〉古今の名作日記から学ぼう きょうから日記を書いてみよう〈2〉日記をスラスラ書く方法 きょうから日記を書いてみよう〈3〉日記を長く続けるには?

紀伊国屋書店本店で絵本のコーナーを見ていましたら、向後先生の書かれた「今日から日記を書いてみよう その1」が棚にあり、早速読ませていただきました。古文の日記の世界など、すっかり縁遠い分野と言いますか、習ったという記憶しか残っていませんでしたので、新鮮な読み物でした。それに私の中学・高校時代は、「土佐日記の作者は誰でしょう」といった問題に正解さえすればそれで良しといった雰囲気でした。

統計学とか数学っぽいジャンルがご専門かと思っておりましたが、ああいう日記文学のような世界も研究対象なのでしょうか。それにしても最近の子ども達には、夏休みの宿題に絵日記などはあるのでしょうかね。私の子ども時代は、これが定番でしたが・・・。

第二巻を読ませて頂きました。「普通の日こそ、日記を書くのに良い日」とか、「出来事とトピックの違い」とか、更に「読み手を意識した文章と、意識しない文章の違い」など、さすがに日記を書きなれている方でなければ気づかない貴重なアドバイスの詰まった一冊で、大人にも充分役立つ豊富な内容でした。

特に、「何故がクセになると、日記のネタに困らないし、生活も楽しくなる」という部分は、私が、30数年ぶりにE−SCHOOLとは言え、大学生生活を再度体験して感じたことと重なります。30年も会社に勤めていますと、企業という組織体はどうしても、「いかにして利益を上げるか」「いかにして効率を上げるか」など、「いかにして」という部分、つまり「HOW TO」の要素ばかりを追い求めがちです。それと比べて、大学の講義は、当然と言われれば当然なのですが、そうした「HOW TO」の前に、「WHAT」とか「WHY」といった部分を極めて大切にしているように感じます。「HOW TOよりも、もっと面白いWHATやWHYの世界がある」ということを実感させてもらった1年5ヶ月でした。「何故がもっとクセになる」ように、これからも心がけていきたいと考えています。

「今日から日記を書いてみよう」の第三巻を読み終えました。日記というのは、確かに、自分を客観視できるという良さがあるかと思います。「キレやすい子ども達」などと言われ、様々な事件の報道に接するたびに、自分を客観的に見つめることの出来る訓練が必要だと感じます。その意味で、日記は有力なトレーニングになるのでしょう。この三冊のご著書は、基本的には子供向けでしょうが、ふと立ち止まって考えさせてくれる内容でした。