田中敏・中野博幸『クイックデータアナリシス：10秒でできる実践データ解析法』

クイック・データアナリシス―10秒でできる実践データ解析法

田中敏先生の『実践心理データ解析』（新曜社）は本当に役に立つ本だったが、これもまた、実践的で、すぐに役立ち、さらに新しい展開も考えさせてくれる本だ。

現場で手に入れられるデータは、一番原始的な度数であることが多いが、それをただ、「去年の２倍になりました」とか「1:2の比率になりました』と報告するのではなく、直接確率を求めて統計学的な報告にしようとする。ノンパラメトリック法の入門としても、これほどわかりやすく具体的に書かれているものはない。

ただ、それだけにとどまらず、サンプル数が少ないか、分布がいびつという理由で、t検定に乗らないデータも、ノンパラに落とし込んで検定する方法（名付けて「自動集計検定」）もくわしく紹介されている。すぐに手元のデータに適用できそうで、何か新しい見方を与えてくれそうだ。t検定や分散分析に凝り固まった頭をほぐして、柔軟なデータの見方ができるような気になる。

計算の複雑なものは、Javascript-STAR（http://www.kisnet.or.jp/nappa/software/star/）のサイトで計算できる。このサイトは分散分析も網羅しているので非常に重宝している。

統計計算してくれるサイトといえば、群馬大の青木繁伸先生のBlackBox（http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BlackBox/BlackBox.html）では、多変量解析をWeb上で実行できる。こちらもありがたく使わせていただいている。