KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

堀田龍也『メディアとのつきあい方学習』

堀田先生より献本いただきました。どうもありがとうございます。

情報教育はすでに初等、中等教育で始まっている。その情報教育のこれからの行き先を示唆する本である。そして、堀田先生は意識しているのかどうか分からないが、この本は情報教育が解消するだろうという将来像を暗示している。それはアメリカで起こったWriting Across the Curriculum運動と同様に、各教科での情報化(あるいは情報教育化)が起こり、その結果、単体としての情報教育は解消されるだろうということだ。

この本でいう「メディアとのつきあい方」とは、

  • 1. メディアの特性により適切な選択ができること
  • 2. メディアが生活に与える影響を学ぶこと
  • 3. メディア社会での安全な行動を学ぶこと

にまとめられる。

1.は各教科内で情報化が進むに連れて解消されるだろう。2.はNIE運動と一体化するだろう。またテレビの批判的視聴能力をつけようとするCritical Watching of Television = CWT運動が進行していくだろう。3.は交通安全運動や誘拐されないようにする指導などと一体化し、「総合安全教育」とでもいうものに統合されるだろう。おそらくインターネット犯罪についても警察官が学校に来て語る時が間もなくやってくる。

この本はおそらく日本の情報教育を語るものでは最先端を行っているだろう。それだからこそ、情報教育は近い将来このような形で解消しているだろうということを読者にイメージさせることに成功している。情報教育にかかわる人にはもちろん必読の本であるし、むしろ情報教育にかかわっていない他教科の教員がまず読むべき本であるかもしれない。