- 作者: 下山晴彦
- 出版社/メーカー: 福村出版
- 発売日: 2000/04
- メディア: 単行本
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研究のあり方として基本研究となる「実践を通しての研究」と、関連研究となる「実践に関する研究」の2種があり、その両者が循環的に組み合うことで臨床心理学研究全体が構成される。「実践を通しての研究」とは、研究者が実践を行いつつ研究するあり方であり、……「実践に関する研究」は、研究者は、実践活動から離れ、実践活動を客観的対象として研究するあり方である。
半構造化面接法は、非構造化面接法の発見的機能と、構造化面接法の確認的機能をあわせもっている。……研究の仮説形成段階において、半構造化面接法を用いることは非常に生産的である。そこで、これを「探索的半構造化面接法」とよび、積極的な使用を提案したい。
こうしたデータの記録を通じて、しだいにリサーチ・クエスチョンを明確化させていく。データ収集の開始時点における研究者の関心は、かなり幅広いものであった方がよい。そしてフィールドノーツをつけていくなかで、観察の焦点を絞ったり面接の質問内容をしだいに特定化したり、また、次の調査対象を選択したりするのである(理論的サンプリング)。
事例研究が心理学研究法として成立するためには、研究として選択した事例の位置づけを明確にしておくことがまず必要になる。たとえば、何らかの新奇な、あるいは特殊な状態を示す事例を、事例研究の対象として選択したとする。そのような場合には、先行研究を丹念にレビューし、その事例が確かに新奇な、あるいは特殊な事例として研究するに値するものであることを明示しなければならない。
時系列分析におけるデータポイント数の問題を解消する方法として、トライオン(Tryon, 1982)はC統計(C statistics)による処遇効果の簡便な検定法を提案した。この方法では、各フェーズに最低8個のデータがあれば検定を行うことができる。
いずれも短期療法で、対人関係療法及び認知行動療法による治療の記録を心理療法Qセット(Psychotherapy Q Set : PQS)により評定した。このPQSは、治療過程の共通言語として開発されたQソート法であり、治療者と患者の相互作用を臨床的に記述した100項目からなる。
1980年、モトローラ社の南フロリダにある2つの事業所は、このメンタリングをプログラム化することを計画した。その目的は、新しくモトローラ社に入社してくるエンジニアのキャリア発達と会社への社会化を促進するとともに、事業所内にチームによる問題解決の風土を定着させようとすることにあった。
臨床心理学の研究技法を網羅する一冊。教育工学の一部は臨床教育工学にならざるを得ないと予測している私にとっては非常に参考になった。アナログ研究、C統計、PQS、プログラム評価などのこの本で知った技法を使える場面がありそう。