映画「es」を見ると、なぜ真剣に演じたロールプレイングが強力な効果を持つのかということがわかる。たとえその役割やセリフが借り物であるとしても、それを相手に対して行使した時に、即座に関係性が構成されるからなのだ。１人で演じてみてもこうはならない。２人以上で演じた時にこの効果が現れる。
また、ロールプレイングの場合は、２人の演者を取り巻いて観察する参加者がいることが、ロールプレイにはまりこむことを抑止する力として働いている。演者は演者同士でコミュニケーションしているが、同時に観察者ともコミュニケーションし、「これくらいでいいかな？」という調整を行っている。これが抑止力として働く。
