- 作者: デボラ・J.スティペック,Deborah J. Stipek,馬場道夫
- 出版社/メーカー: 二瓶社
- 発売日: 1999/02
- メディア: 単行本
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強化理論から認知理論まで幅広く動機づけの問題を解説している本。常に具体的な例示を伴っているので、抽象的な理論も分かりやすく読める。
後半は学校やクラスの問題に割かれており、ブルームの完全修得学習やケラーの個別教授システム(PSI)もごく自然な流れで取り上げられている。
評価の問題にもページが割かれており、ABCのような簡単な評価はなるべく使わずに、個別のコメントをすることの有用性が説かれている。個別のコメントは、内発的動機づけを高め、どこをどう改善していけばよいかという情報を与えることができる一方、ABCの評価では「自分はCの学生だ」というような否定的自己評価を与えてしまうという。
非競争的な評価を利用することも勧められている。つまり、高いレベルの学生にはより難しい課題に挑戦させ、低いレベルの学生にはそのレベルにあった課題により成功させる。競争的な評価では、常に成功することのない学生たちが論理的に存在する。それをいかに回避していくか。評価の問題は、いまの私にとっても重要なトピックになっている。
著者の姿勢は巻末の次の文章によく現れている。
教師は科学者として自分の職業を研究する必要があります。教師は生徒たちを観察し、動機づけや学習問題について仮説を立て、可能な解決を考えるべきです。いろいろな方法で実験し、その効果を観察して、その仮説を注意深く検証すべきです。彼らの観察によってその仮説を確認できないときには、その仮説を修正するべきです。これは、優れた観察技術と実験への積極性を要する、決して終わることのないダイナミックな過程です。