KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

アウトライナーの話

BBSでアウトライナーの話を振られたので、こちらに持ってきました。昔、こんなことを書いたことがあります。

文章の書き方を習得していない人はいくらアウトライナーを使ってもだめだし、逆に、頭のなかでアウトライナー的な構成ができるように熟達した人にはもはやアウトライナーは不要である、とも「毎日の記録」さんは言っている。逆説的で面白い洞察だと思う。つまりは「ソフトの使い方を教えることと、そのソフトを使ってどんなものを作り上げるかはまったく別のことだ」という冷静に考えればまったく当たり前のことなのだ。そこらじゅうで、Word教えますとか、Excel教えますとかいっている人たちに聞かせてやりたい言葉である。そういうことは、トンカチ教えますとか、ノコギリ教えますというのとあまり変わらないこっけいさに人々はまだ気付いていない(そういえばホームページ教えますなんてのもあるな)。まず教えられるべきは設計図の引き方であろう。まあ、ノコギリをひいているうちになんか作りたくなってきたというようなことが起こりうるということは否定しないけれども。

(1998年10月4日の日記より)

そんな具合で、アウトライナーはいくつか試してみたけれども、今まで継続的に使ったものはないのです。文章はすべてエディタ(Jedit X)で書き、レイアウトや修飾が必要なときはワープロ(Pages)に流し込みます。

とはいえ、アウトライナーが文章を書くために効果的な働くというケースもあると思っています。これも昔の日記ですが、アウトライナーの教程案を考えたこともあります。

さて、先週からのアウトライナーを使いこなすための考察をまとめてみると、どうやらアウトライナーを使いこなすための教程が必要だということがわかってきた。それを素案として出してみたい。

  • ある程度以上の長さの文章は構成を持っており、構成のはっきりしない文章は理解しにくく、説得力もない(ということを知る)。
  • 文章の構成とはアイデアを論理的に順序づけたものである。
  • 文章の構成ははじめからできるものではなく、試行錯誤の末にできる。それを紙でやる方法として「こざね法」(梅棹忠夫)がある。
  • こざね法と等価のことがコンピュータ上のアウトライナーによって実行できる。
  • アウトラインの上位の項目がトピックセンテンスになる。
  • トピックセンテンスを詳しく展開することによってひとつのパラグラフを作る。
  • パラグラフを作る途中でもアウトラインを変更することがある(計画と実行の間のゆきつもどりつ)。
  • パラグラフの展開にはいくつかのパターンがある(レトリック)。
  • アウトラインから最終表現まで一連の流れでできると効率がよい。
  • 熟達した書き手は以上のことを頭の中でやっている。
  • 熟達した書き手になるためには練習が必要。

(1998年10月8日の日記より)

結局、文章を書くときのアウトラインは、A4判の紙にマインドマップよろしく、項目を丸で囲んだり線でつないだりして書いています。それを見ながらエディタに直接書いていくというスタイルです。