KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

エイミー・ミンデル『メタスキル』

メタスキル―心理療法の鍵を握るセラピストの姿勢

メタスキル―心理療法の鍵を握るセラピストの姿勢

二人の人が金槌を使っているところを、ちょっと想像してみてほしい。一人の人は、釘を打つのにすごい力を使っている。もう一人の人は、もっと穏やかな注意深いやり方をしている。道具は同じでも、道具の使い方が大変違っていて、金槌で打つことや手仕事についてのその人の考えを映し出している。たとえ両者が、壁に釘を打つという同じことをしているとしても、この釘打ち全体の味わいや雰囲気が違う。

セラピストがどんな流派であろうとも、特定のどんなテクニックを使おうとも、セラピーの実践にはセラピストの世界観と態度が現れる。それは人との交わり方、どんな世界を望むかということを反映する。そこで自分のフィーリング・アティテュードへの気づきが必要になってくる。

エイミー・ミンデルはテクニックの上位に位置するものをメタスキルと呼び、それについて考察している。コンパッション:どんなことでも当然だと思わなければ何に気づくか。創造性:何事でも起こっていることに従う。メタコミュニケーション:プロセス全体をモニターする気づき。チャンネル:見ているものを身体の感じにチャンネルを変化させる。

最高のセラピストは最小のことしか知らない。聡明すぎれば役に立たない。

この本に通底するのはタオイズムで、指向するのはスピリチュアリティだ。