KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

アーノルド&エイミー・ミンデル『うしろ向きに馬に乗る』

うしろ向きに馬に乗る―「プロセスワーク」の理論と実践

うしろ向きに馬に乗る―「プロセスワーク」の理論と実践

私が思うに、因果論アプローチに効果がなくなったとき、あるいは、合理的に理解するには人生があまりにも複雑になったとき、プロセス・ワークのようなパラダイムが必要とされるのではないでしょうか。人間が置かれている状況のほとんどは、理解するには奇妙すぎるように思われます。

この本は、アーニーがリーダーを、エイミーがアシスタントを務めた、エサレン研究所での公開セミナーの記録を元にしている。ワークはほぼそのまま逐語的に記録されており、その間に解説が挿入され、また、ワークで重要な役割を持つ動作については写実的な線画で描かれている。そのため、読者はまるで自分がその場のワークに参加しているように感じられる。ワークをそのまま本の形として写し取るのは非常に難しいことだと思うが、この本はほぼ完璧にそれを果たしている。さらには、後から書き加えられた解説によって、ワークのプロセスのひとつひとつで何が起こっているかをセラピストの立場から見ることができる。すごい本だと思う。

エッジを探し当てること。

私の目標の一つは、エッジで何が起こっているかというのを自覚することです。個人の成長は普通直線的な道を進みません。それはむしろ循環する道を歩み、エッジを少し越え、そして戻り、また越え、それからしばらく中間にとどまったりするのです。

偶然性。

つまり、誰がワークしたいか人(参加者)にたずねるだけでなく、ペンを回してどの人が選ばれるか、場に問いかけたいのです。「偶然性」がワークに含まれることで、私たちはその瞬間の「スピリット」、あるいはグループの「スピリット」ともワークすることになるでしょう。

介入の仕方。

人間関係のワークにおける介入は、関わりを大切にしたやり方でなければなりません。みなさんは、相手の一次プロセスとしっかり関わり、それをサポートする必要があります。相手が意図せずに送り出しているダブル・シグナルに直接介入することはできないのです。

五感への「投影法」である、ブランク・アクセス。

ダブル・シグナルは解釈しないようにし、穏やかにアプローチしてください。表情の色とワークする場合には、「あなたの表情に何かが見えます。でもそれが何なのかわかりません」というように言うのがいいかもしれません。これはブランク・アクセスといい、たいへん役に立ちます。内容をブランク(からっぽ)にすることで、相手がその内容を自由に埋めていくことができるのです。

グループワークのエッセンス。

私たちは物理学者の言う「場」に生きています。「場」は雰囲気を創り、私たちの感情を生み出します。それはまるで、さまざまな人物を登場させて物語を作る夢のようなものです。

セラピーとワークの関係。

セラピー的な要素はワークにおいて重要な部分であり続けるでしょう。なぜなら、それを必要としている人たちが大勢いるからです。私たちはみんな、少なくともある時期には助けを求めるものです。しかし、セラピーは時代遅れとも言えます。なぜなら、セラピストとしてどんなときにも役に立とうと心がけることには、無理があるからです!そのため多くの人々は燃え尽きてしまい、変容の必要性から専門家をやめてしまいます。

つまるところ、プロセス指向心理学は、第三勢力心理学(人間性心理学)の正統的な継承者であるように思える。