KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

木下康仁編著『分野別実践編グラウンデッド・セオリー・アプローチ』

分野別実践編 グラウンデッド・セオリー・アプローチ

分野別実践編 グラウンデッド・セオリー・アプローチ

語られたデータは信じるしかない。研究関心に照らしあわせながら分析者がどう読んだのか。それ以上でもそれ以下でもない。概念図という結果に対する評価を批判の対象とすることで行き過ぎを防げると考える。つまり、概念図と現実との対応関係、すなわち現実への適合性(fitness)や理解しやすさ(understanding)、一般性(generality)、コントロール(control)といった観点からの評価により判断できるのではないかと考える

木下流修正GTAhttp://d.hatena.ne.jp/kogo/20050419/p1)を用いて研究をした実例をそれぞれの研究者が語る。修正GTAを採った理由は、「データを細切れにしたところで概念やカテゴリーを見いだすのが難しい」という点で共通している。

分析ワークシートを作りながら、概念を見つけ出し、そのバリエーションを検討し、対極事例やあてはまらない事例を持ち出して常に比較することで、その概念をチェックしていくプロセスが肝だ。

切片化GTAhttp://d.hatena.ne.jp/kogo/20060213/p1)か、修正GTAのどちらを選択するのは迷うところだが、分析テーマとの相談になるか。最終的には、概念、カテゴリー、ストーリーラインの生成まで行き着ければいいのだ。いずれにしても、事例研究をやる前にGTAをやる方がいいのではないかと思わせる。