統計分析は確かに面倒だ.勉強しなくてはならないこともたくさんある.避けて通りたい気持ちもわかる.
しかし,誰であれ科学的研究をする者は,データを収集し,それを分析することで何かを明らかにするしか方法はないのだ.科学の方法はそれしかない.
とすれば,今あなたの手元にあるデータが貴重なものであればあるほど,統計分析をしたくなるのではないか? 時間をかけ,手間をかけ,苦労して集めたデータを,ただの平均値で示していいのか? 「平均するとこれだけの違いでした」というような小学生でもできる方法で終わりにしていいのか?
あなたのデータを,さまざまな切り口で分析すれば,いろいろなことを明らかにする可能性があるとしたら,なぜそれをしないですませようとするのか? それはデータへの冒涜ではないのか? 自分が苦労して集めたデータを,自分の手で貶めているようなものではないか.
自分のデータが貴重なものであればあるほど,それを丁寧に分析しよう.何度もデータを眺めよう.たくさんグラフを描こう.いろいろな切り口から分析しよう.複数の統計手法で分析してみよう.
そのために統計分析の手法について日ごろから勉強しておくことだ.それは料理人が,日ごろ自分の道具と腕を磨いておくことに似ている.