- 作者: 枡野俊明
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2009/06/19
- メディア: 文庫
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これはすてきな本.読んでいくと心が静かになって,それだけでなく,何かインスピレーションを受け取るでしょう.
いくつか引用:
・汚れているわけではないのに,一生懸命に掃除をしている.それは寺をきれいにすることだけが目的なのではなく,掃除をすることで自分自身の心を磨いているのです.
・そこで千利休が「市中の山居」ということを言ったのです.あわただしい街なかにいながらも山居の状態をつくる.
・この「主人公」という言葉,もとは禅語です.ある高名な僧侶は,自分を「主人公」と呼んで「はい」と答え,「目を覚ましているか」と尋ねて「はい」と答える,という問いかけをひたすらくり返したといいます.
・何かを始めるのは勢いがあればできます.終わるのも簡単.ただ,続けていくことだけが難しいのです.
・自分が幸せになりたいと思うなら,周りの人たちも幸せでなければなりません.そのために他人に尽くすことが,自らの幸福につながっていくのです.自分の考えに固執しない.執着しない.そして,人の幸せのために尽くす.
・禅画には色彩がありません.ただ墨の一色のみ.それはなぜかと言えば,本当の美しさは色彩では表現することができないという考え方があるからです.色をもって伝えきれない美を伝える.そのために,あえて色を使わない.
・つまり「啐啄同時」とは,両者にとって絶好のタイミングのことを言うのです.相手を育て上げるときは,急ぎすぎてもいけないし,のんびりしすぎてもいけない.育ててもらうほうは,それなりの合図を相手に送る必要がある.
・着地点ばかりに気を取られていると,道程がおろそかになります.結果を出すことにとらわれていては,「今」「この瞬間」に全力を出せない.