KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

アドラー心理学の枠組でインストラクショナルデザインを整理する

2021年7月2日(金)

ハロージュラーイ! 向後です。

熊本大学大学院教授システム学専攻の鈴木克明先生が中心として提供している「IDポータル」というサイトがあります。インストラクショナルデザインのことを知りたいと思ったらまず第一に訪問すべきサイトです。

その鈴木先生が編集長として発行している「IDマガジン」というメルマガがあります。私も愛読しています。バックナンバーは次のサイトから読むことができます。

https://idportal.gsis.jp/magazine/

最新の第96号では、【ブックレビュー】GB4輪読シリーズ:第4章「個人に合わせたインストラクションの原理」(ウィリアム・R・ワトソン、サニー・リー・ワトソン)という記事を読むことができます。

https://idportal.gsis.jp/mail-magazine/1012.html

その中の一節。

> 本章の理論的基盤には、次の5つが挙げられています。構成主義(知識は主観的、個人的に構成される)、目的思考理論(ゴールを持っているべきで、そこに焦点を合わせれば他人との比較による要らぬ劣等感などを回避できる)、自己調整学習(ゴールを設定し、そこに至るプロセス・環境をモニタ・調整し、評価する)、自己決定理論(自分でやって、やり遂げてる感覚)、フロー理論です。耳なじんだ学習理論・心理学的フレームワークです。ここはこの本を通じて何度もでてきます。

ここですね。このフレームワークがアドラー心理学の5つの基本前提と実によく対応しているのです。こんな具合です。

構成主義   → 仮想論(人は世界を見たいように見る)
         社会統合論(人は社会に埋め込まれている)
目的思考理論 → 目的論(人はまず目的を持つ)
自己決定理論 → 全体論(人は分割不可な全体として動く)
         個人の主体性(人は自分の人生を創り出す)

さらには、次のようにさかのぼることができます。

フロー理論
  ↑チクセントミハイ
    ↑ポジティブ心理学
      ↑人間性心理学
        ↑アドラー

「贔屓の引き倒し」になってはいけませんけれども、アドラー心理学の枠組でインストラクショナルデザインを整理することもできそうです。こんなことを強く感じている今日この頃です。

では、良い週末を!